住民が日常的にいない大学のキャンパスにおいて、学生や教職員、地域住民が連携して野良猫を適切に管理・育成する「地域猫活動」が各地の大学で成果を上げています。
適切な管理によってトラブルの減少といったメリットが生まれる一方で、数年単位で入れ替わる学生ならではのノウハウ継承の難しさや、猫の健康・繁殖を巡る重い選択に向き合うなど、学生にとって命を学ぶ貴重な機会にもなっています。
1. 各大学での具体的な取り組みと実績
① 京都産業大学(京都市北区):学生団体「むすびねこ」
- 背景と発足: 以前から学内に野良猫がいましたが、昨夏以降にゴミ箱の荒らしや屋内への糞尿トラブルが急増。大学側が不妊・去勢手術を実施し身勝手な餌やりを禁止したところ、法学部2年の土井大志さんらが世話役に志願しました。
- 現在の活動: キャンパスを一つの地域と見立て、2026年2月に京都市から「地域猫活動」の認定を受けました。現在は学生40人・教職員8人が所属し、時間と場所を決めた餌やりやトイレの設置を徹底。エリア内の猫(現在5〜6匹)を正確に把握することで他の野良猫の侵入を防ぎ、トラブルも解消されています。
② 大阪公立大学 中百舌鳥キャンパス(堺市):公式部活動「ひと☆ねこ部」
- 特徴と実績: 2012年から10年以上にわたり地道な活動を継続しています。公式の部活動として、部員が学内の猫の数や健康状態を記録する役割を担う一方、実際の餌やりや清掃は地域住民が協力して担当する「地域一体型」の体制が特徴です。
- 資金と成果: 不妊・去勢手術や水飲み場の設置といった費用は、教職員からの寄付や大学の基金によって賄われています。活動初期には約150匹いた学内の猫が、現在は約60匹にまで減少するという具体的な成果を上げています。
2. 活動における主な課題
ノウハウの継承と世代交代
大学独自の課題として、中心となる学生が4年周期で卒業・入れ替わるため、活動のノウハウや経験をどう次世代へ引き継ぐかが挙げられます。 管理が上手くいきトラブルが起きない状態が続くと、逆に現役の学生が「トラブル時の対処法」を知らないままになってしまうリスクもあります。そのため、卒業生らで設立された全国のネットワーク組織「大学ねこ連盟U―cats」(23団体が加盟)などを通じ、全国の大学間で経験を伝え合ったり、OB・OGから助言を受けたりしてノウハウの維持を図っています。
命を巡る葛藤と選択
活動を進める中では、「人間の都合で命のあり方を決めてよいのか」という精神的な負担や葛藤が学生に生じます。具体的には、以下のような厳しい現実の選択を迫られる場面があります。
- 妊娠が判明した野生・野良の母猫に対する堕胎の是非
- 衰弱した猫に対する高額な医療・治療費をどう工面し支払うか
保護活動を支援する「ねこから目線。」(大阪市)の小池英梨子代表は、理想と現実のギャップに直面した際、徹底的な話し合いや専門家の助言を通じて、猫を守りたい人と迷惑に思う人の双方の意見に折り合いをつけていくプロセスそのものが、学生にとって大きな学びの機会になると指摘しています。








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