終戦後、旧満州(現・中国東北部)などから帰還した人々の暮らしを支えてきた貝塚市の「東貝塚住宅」から、2026年3月末に最後の住人が退去しました。近畿地方で唯一現存していた「引き揚げ者住宅」でしたが、老朽化のため2027年度以降に取り壊される方針です。
1. 70年以上にわたる歴史
引き揚げ者住宅は、戦後の深刻な住宅難を解消するため、国や自治体が応急的に整備したものです。
- 東貝塚住宅の歩み: 1951年に大阪府が約50戸を整備。木造平屋の簡素な造りで、戦後の混乱期から高度経済成長期を経て、令和の現在まで引き揚げ者のコミュニティを守り続けてきました。
- 現状: 2012年から老朽化による転居要請が進められ、今年3月末に最後の1世帯が退去したことで、住人はゼロとなりました。
2. 語り継がれる「記憶の場所」
同住宅で生まれ育った村崎太さん(58)は、かつて母親の節子さん(2018年死去)から聞いた壮絶な引き揚げの体験を振り返ります。
ソ連軍の侵攻、略奪の恐怖、命からがらの帰国。節子さんはアンケートに、この住宅へ入居した時の心境を「やっと布団の上に寝ることができた」「普通の食事がうれしかった」と綴っていました。村崎さんは「住宅がなくなっても、この場所があったことを語り継いでいきたい」と、歴史が風化することへの危惧を語っています。
3. 今後の対応
大阪府は、住宅があった歴史をホームページなどで紹介していく方針です。 専門家からは「引き揚げ者の歴史を示す貴重な遺構であり、資料館への移設や展示などを検討し、後世に伝えるべきだ」との声も上がっています。
戦後80年を超え、地域の風景から戦後の歩みを象徴する場所がまた一つ姿を消そうとしています。
記事概要
- 名称: 東貝塚住宅(大阪府貝塚市)
- 設立: 1951年(昭和26年)
- 現状: 2026年3月末に住人不在となり、2027年度以降に取り壊し予定。
- 歴史的価値: 近畿地方で最後に残った引き揚げ者専用の住宅。
満州(現・中国東北部)などからの<引き揚げ者>知っていますか…大阪府貝塚市 近畿唯一残る<東貝塚住宅>取り壊しで、壮絶な体験や歴史「なくなっていくよう」 : 読売新聞








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