超高齢社会を迎え、ひとり暮らしの高齢者が急増する中、大阪府堺市を拠点に「5分110円から」という破格の料金でシニア世代の日常の些細な困りごとを解決するサービス「御用聞き」が大きな注目を集めています。
関西テレビの報道番組『newsランナー』(2026年5月26日放送)では、前掛け姿で地域の高齢者のもとへひっそりと、しかし力強く寄り添う「御用聞き」の小谷真一さん(43)の活動に密着。行政や介護保険制度の枠組みだけではカバーしきれない「隙間」を埋める民間サービスの最前線が紹介されました。
日常の「ちょっとした困りごと」がシニアには切実
小谷さんのもとに寄せられる依頼は、後期高齢者(75歳以上)を中心に多岐にわたります。
- エレベーターのない団地での「朝のゴミ出し」
- 天井に手が届かない高齢者に代わる「照明カバーの掃除」
- 「風呂やトイレなど水回りの清掃」(1時間で3,190円)
- 仏壇の花の買い出し、家具の移動など
これらは元気な世代にとっては些細な作業ですが、身体機能が低下した高齢者にとっては、自宅での自立した生活を継続する上での切実な障壁となっています。
なぜ「御用聞き」なのか? 介護保険制度の限界と隙間
現在、日本の福祉現場では公的な介護保険サービスが不可欠ですが、訪問介護には「制度上の厳格なルール」が存在します。
現場のケアマネジャーの証言 「『片付けをしてほしい』『大きな家具をよけてほしい』といった要望があっても、訪問介護の決まり上、提供できない(日常生活の直接的な援助の範囲を超える)ケースがあります。そのため、小谷さんの存在は非常に助かっています」
また、堺市の地域包括支援センターとも月に1回、スマホ無料相談会などを通じて連携。包括の職員も「高齢者の急増に対して制度の限界が見え始めている中、制度の隙間を埋めてもらう活動としてコラボすることが多い」と語り、公的機関と民間インフォーマルサービスが互いを補完し合う理想的なチーム医療・ケアの形が形成されつつあります。
「一緒にお出かけ、外食」がもたらす心のケア
密着では、有料老人ホームで車いす生活を送り、自由に外出できず塞ぎ込みがちになっていた94歳の男性の付き添いでお寿司屋さんへ外食に出かける様子も描かれました。
介護保険の訪問介護では「利用者の趣味嗜好のための外出同行」や「外食の付き添い」は原則として算定できません。小谷さんはこうした「心の栄養」となる時間にも同行し、家族(難病を患う60代の娘さん)の介護負担の軽減(レスパイト)や、本人の生きがいの創出にも一役買っています。
売り上げ至上主義から転身、「寄り添う人」として
元々は飲食や貿易などの会社で働き、売り上げばかりを追い求める日々に疑問を感じていたという小谷さん。30代半ばで地元・堺に戻った際、両親や地域の人々が日常の些細なことに困っている姿を目にし、東京で行われていた「御用聞き」のビジネスモデルに共鳴して大阪での事業を立ち上げました。
活動開始から3年が経ち、小谷さんは自身の役割をこう定義します。
小谷真一さんのコメント 「御用聞きは『寄り添う人』というのは、すごく段々自分の中で理解できるというか、本当に大切なことだなと思うようになりましたね。誰しもが自分らしく心豊かに生活できる、そんな日常が増えていくといいなと思います」
公的な制度(フォーマルサービス)とボランティアなどの中間に位置する、持続可能な有償の「生活支援サービス」。超高齢社会における持続可能な地域社会の構築において、こうした“御用聞き”の果たす役割は、今後さらに重要性を増していくと考えられます。








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