1960~80年代にかけて開発された泉北ニュータウンは、整備された道路や公園、住宅団地が広がる計画的な住宅地として発展してきた。一時は16万人以上が暮らしたが、現在は人口減少と高齢化が進んでいる。
一見すると生活利便施設や公共交通がそろった「便利な街」に見える一方で、実際に暮らす住民からは、日常生活のしづらさを訴える声も聞かれる。
取材に応じた住民からは、「最寄りのスーパーはあるが、坂道がきつい」「駅までのバス本数が少なく不便」「車がないと買い物が大変」といった声が上がった。泉北ニュータウンは丘陵地を活かして整備されており、坂道や高低差が多いことが特徴だ。若い頃は気にならなかった地形が、年齢を重ねるにつれて大きな負担になるケースも少なくない。
60代の夫婦は「体調を崩してから買い物や通院が一気に大変になった」「車を運転できなくなった後の生活に不安がある」と話す。通院時のタクシー利用が増え、出費がかさむといった現実的な問題にも直面しているという。
堺市では近年、AIを活用したオンデマンド交通の導入など、新たな移動手段の整備が進められている。ただし、スマートフォン操作や事前予約が必要な仕組みに対し、高齢者が利用しづらいという課題も残る。
現在、UR都市機構や自治体によるニュータウン再生事業では、エレベーターの後付け設置や住宅のリノベーション、空き家活用などが進められている。しかし、専門家は「建物単体ではなく、移動・医療・買い物を含めた街全体の再設計が不可欠」と指摘する。
泉北ニュータウンで顕在化している課題は、今後ほかの郊外住宅地でも起こりうる問題だ。「今は便利」という理由だけで住まいを選ぶのではなく、将来も暮らし続けられるかという視点が、これまで以上に重要になっている。
60代夫婦「最寄りのスーパーはあるけど…」夢のニュータウンに住むも…直面した“予想外の現実”【一級建築士は見た】 | TRILL【トリル】








この記事へのコメントはありません。