泉佐野漁協青空市場(泉佐野市)
「いらっしゃい、いらっしゃい、まけとくよ」。細長い通路に立ち並ぶ鮮魚店に、タイ、エビ、アナゴ、貝などの魚介類が所狭しと並び、威勢のいい声が訪れた人を迎えてくれる。
泉佐野市新町にある「泉佐野漁協青空市場」。府内でも有数の漁獲量を誇る泉佐野漁港にある生鮮市場だ。休業日を除けば、毎日午後3時頃には、その日に水揚げした新鮮な魚介類などが約30店舗で販売される。
青空市場が盛んになったのは1960年代の頃。近くの卸売市場で競りを終えた仲介業者や漁師の一部が、路上で魚介類を売り始めたのが由来とされる。96年に店舗が入る建物が整備され、「青空」の名称だけが残った。週末には府外から多くの買い物客が訪れ、にぎわいをみせる。
近年は、約7キロ離れた海上に浮かぶ関西空港を利用する訪日外国人客が増加したことを背景に、青空市場にも足を運ぶ外国人の姿が目立つようになった。
店舗でも、外国語表記のPOP(商品広告)を掲示し、海外で人気のあるカキをその場で調理して食べられるようにするなど、販売の仕方を工夫している。鮮魚店「鮮魚 魚秀商店」の店員中谷美杉さん(45)は、「スーツケースを引いた外国人のお客さんもよく来る。タコやエビが人気で、スマホの翻訳アプリを使いながら、接客しています」と話す。
泉佐野市も青空市場への誘客に力を入れる。昨年12月には、大阪・関西万博の開催を見据え、日本語に加えて、英語や中国語に対応した観光情報サイト「ここ旅泉佐野」を開設。海辺を巡るモデルコースの立ち寄り先の一つとして、青空市場を紹介している。購入した魚介類を隣接する施設に持ち込み、バーベキューを楽しむこともできる。
漁港近くを散策すれば関空へと続く連絡橋や大阪湾も目の前に広がる。グルメだけでなく、空港のまちならではの景色も魅力だ。今西紀彰・市まちの活性化担当理事は、「万博で関空を利用する外国人観光客の増加に期待したい。長期滞在をする人が多いと思うので、帰国前に数日、泉佐野に立ち寄り、楽しんでもらいたい」と呼びかける。(泉佐野支局 門間圭祐)
◆大阪市中心部から泉佐野漁協青空市場までは、1時間程度の行程だ。梅田からは大阪メトロ御堂筋線に乗り、なんば駅で南海電車に乗り換え、泉佐野駅で下車。駅から北に約1キロ行けば到着できる。入場料は不要。市場内には魚介類の料理を提供する飲食店もある。
海の環境保全に関心を@万博「ブルーオーシャン・ドーム」
新鮮な魚介類を味わうには、海の環境保全が欠かせない。気候変動や汚染、海の生物の減少といった問題を提起するパビリオンが「ブルーオーシャン・ドーム」だ。環境問題に取り組むNPO法人ゼリ・ジャパン(東京)が出展している。
竹や紙などを用いて建築されたドーム状の会場では、半球形の超大型ディスプレーに、海洋汚染が進む地球で暮らす生き物の姿をフルCGで描いた映像が映し出される。期間中に国際シンポジウムや講演なども開催される。9月には府などが大阪湾の藻場の豊かな生態系をVR映像で体験できるイベントなども行う。
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