2023年、大阪府岸和田市で、酒を飲んで車を運転し、親子をはねて母親を死亡させたとして危険運転致死傷の罪に問われた男の裁判の控訴審で、大阪高裁は18日、男の控訴を退け、一審と同じ懲役12年の判決を言い渡しました。
18日の判決で大阪高裁は「行為の危険性、経過の悪質性、結果の重大性を踏まえると、一審判決の量刑理由は相当であり、重すぎて不当とは認められない」としました。判決後、亡くなった女性の二男は、「自分の犯した罪に正面から向き合ってほしい」と話しました。
■被告は忘年会から帰宅途中…目が不自由な息子を付き添った母親はねられ死亡
岩井拓弥被告(31)は、2023年12月、岸和田市で酒を飲んで車を運転し、大久保春江さん(当時82)と二男の孝之さん(51)をはね、春江さんを死亡させた上、孝之さんに大ケガをさせた罪に問われています。
岩井被告は、忘年会で酒を飲んだ上で、車で帰宅途中、目が不自由な孝之さんと付き添っていた春江さんをはねていて、大阪地裁堺支部で行われた一審の裁判では起訴内容を認めていました。
大阪地裁堺支部は2024年9月の判決で、「他の交通手段も利用できたのに、飲酒運転し、危険性を軽視する態度は明らかだ」として、検察の求刑通り、懲役12年を言い渡し、その後、岩井被告側が控訴していました。
■二男は判決を法廷で聞き涙「自分が立ち直らないといけない」
自身も事故に巻き込まれ重傷を負った大久保孝之さんは、18日の判決を法廷で聞きました。裁判長が判決を読み上げる間、時折ハンカチで涙をぬぐう様子が見られ、判決後、取材に応じ「事故のことを思い出し、自分が立ち直らないといけないと強い気持ちで思ってきたことと、大切な母を亡くした悲しみからまた涙が出てきた」と語りました。
岩井被告は判決には出廷せず、孝之さんは、「罪に向き合っていないと感じられたので、非常に残念だった。自分の犯した罪に正面から向き合ってほしい」と話しました。
孝之さんは、「母親も僕の将来のことを心配してくれていると思うので、少しでも安心してもらえるように、僕は事故前の自分を取り戻すことを今まで続けているが、それをこれからも続けて、母親に安心してもらいたい」と心境を明かしました。
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