ドライバーの飲酒運転やあおり運転が、いまだに後を絶たず、こうしたトラブルに対するリスク対策として、車両への社名記載を小さくする事業者も増えている。一方で、あえて社名を大きく記載することで、ドライバーの危険な運転の抑制につながると考える事業者もいる。
建設資材などを輸送する大阪府岸和田市の運送会社は、昔から社名をボディーに大きく記載している。「当初は社名を知ってもらうためであったが、今はドライバーに危険な運転をさせないという目的に変わってきている」と説明する。

同社社長は、「安全運転を行わないとクレームが寄せられる。クレームが来たらその都度ドライバーに注意する。何度も注意を受けるドライバーは、それだけ危険な運転をしていることが多いのだろう。無事故で丁寧な運転を行うドライバーへのクレームは皆無。やはり会社として、危険運転やマナー違反をできるだけさせない方法をとることが大切」と語る。
同和泉市の運送会社は「危険運転するドライバーの動画をSNSに投稿したり、社名からネットで検索してクレームの電話をかけてくるケースが増えた」と指摘。このため、「最近はメーカー純正の車体カラーを採用し、自社独自のカラーを採り入れないケースも増えている」とし、「目立たなくすることでクレームは減るだろうが、かえってそれがドライバーの運転の質が高まらない理由になっていないか」と警鐘を鳴らす。
同社では自社カラーで統一し、社名もボディーに大きく記載。「ドライバーは慎重な運転が求められるようになり、実際、ドライバーの無謀・危険運転による事故も大幅に減少している。世間から見られることで運転マナーや質の向上につながっているのだろう」と語る。


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