鉄炮鍛冶屋敷(町家歴史館井上関右衛門家住宅)で、第2回企画展「生誕200周年記念 井上関右衛門壽次-歴史を遺した最後の堺鉄炮鍛冶-」を開催します。
井上家第11代当主関右衛門壽次(ひさつぐ)(文政7年〔1824〕~明治41年〔1908〕)は、幕末、明治の激動の時代を生き抜いた最後の堺鉄炮鍛冶です。壽次は、父の急死を受けて数え年2歳で家業を継ぐと、母や後見人らの支えを受けて鉄炮鍛冶としての実力をつけ、やがて堺鉄炮鍛冶のなかで最も多くの大名・旗本と取引をするまでに成長しました。
明治時代には、鉄炮の製造を続けながら、火薬販売や醤油製造などに家業を多角化し、井上関右衛門家の存続を図りました。鉄炮鍛冶屋敷には、鉄炮製造の歴史を伝える2万点を超える古文書をはじめとした資料が伝えられていますが、これは偶然ではなく、壽次が意図的に整理して遺したものと考えられます。
本年は、壽次の生誕から200年を迎えます。このことを記念し、本企画展では壽次愛用の鉄炮図柄の目貫が付けられた刀などを初公開します。その他、壽次が遺したさまざまな資料を通して、井上関右衛門家や堺鉄炮鍛冶の歴史をたどり、後世に歴史を伝えようとした彼の想いに迫ります。
期間
令和6年11月20日(水曜)~令和7年2月11日(火・祝)
場所
鉄炮鍛冶屋敷(堺市堺区北旅籠町西1丁3-22)
施設概要
開館時間 | 午前10時~午後5時(入館は4時30分まで) |
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休館日 | 火曜日(祝日の場合は翌日)、12月29日~1月3日 |
入館料 | 500円(20人以上の団体は400円)
※中学生以下、堺市内に住所を有する65歳以上の方、障害のある方とその介護者は無料(証明書の提示が必要) |
アクセス | 阪堺電気軌道阪堺線「高須神社」停留場より西へ約300メートル
南海本線「七道(しちどう)」駅より東へ約300メートル |
共通入館券等の施設情報の詳細は町家歴史館のページ(外部リンク)をご覧ください。
展示内容
第1章 鉄炮鍛冶としての最盛期
井上関右衛門家存続の危機を経て、堺鉄炮鍛冶で最多の取引数を誇るようになった壽次の実績を紹介します。
「壽次」命名書【初公開】
エンフィールド銃
第2章 転換の時代を生き抜く
明治時代以降、堺鉄炮鍛冶を取り巻く変化と壽次による家業の多角化について紹介します。
大小銃並弾薬類売買免許書
第3章 歴史を遺した最後の堺鉄炮鍛冶
壽次が遺した資料を通して、後世へ歴史を伝えようとした彼の想いに迫ります。
壽次愛用の刀【初公開】
鉄炮図柄の目貫(拡大)
第4章 文化人としての壽次
茶の湯や生け花など、壽次がたしなんだ文化的な趣味を紹介します。
竹製花器【初公開】
花器が描かれた「花道図引並水上伝」