大阪府岸和田市発注工事を巡る汚職事件で、前市長の永野耕平被告(47)(官製談合防止法違反などで起訴)が最低制限価格を漏らした疑いがある3件の工事は全て、市長に価格の決定権がある予定価格1億円以上の工事だったことが関係者への取材でわかった。大阪地検特捜部は、永野被告が自ら決定した最低制限価格を漏らしたとみている。
永野被告は24日、2021年8月と24年5月に入札が行われた市発注工事2件の最低制限価格を大阪市の建設会社の代表取締役だった男性に漏らしたとする同法違反容疑などで再逮捕された。
関係者によると、再逮捕容疑の工事2件は▽流木低区配水本管布設替工事(21年8月入札、最低制限価格9億6603万4000円)▽土生町配水本管布設替工事(24年5月入札、同1億3425万8000円)――。2件とも男性が関わる企業や共同企業体が最低制限価格と同額で落札した。
このほか、永野被告は21年5月の岸和田競輪場施設整備工事の入札でも最低制限価格(3億4754万6000円)を男性に漏えいしたとする同法違反などで起訴されている。この工事の落札価格は最低制限価格と2000円差だった。
市契約検査課によると、最低制限価格は、予定価格が1億円未満の工事は市幹部、1億円以上は市長が決定する。
一方、永野被告は24日、2023~24年に市発注工事で便宜を図った見返りに、男性から1900万円を借りて利益供与を受けたとする収賄容疑でも再逮捕された。
検察幹部によると、一般的には、借金だったとしても借り入れが多額だったり、無利子・無担保で借りたりした場合に、捜査当局は「賄賂」と判断するケースがあるという。
特捜部は、永野被告が借りた金について、利子や担保がついていたかどうかや、返済したかどうかについて明らかにしていない。
この記事へのトラックバックはありません。