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『ごみ処理に年間30億円超の経費がかかる』自治体が目を付けたのは「中古リユース」…不要品売買の仲介サイト「ジモティー」とタッグでごみ減量化を目指す

 大阪・関西万博では、企業や各国が手掛けるパビリオンなどの施設について、リサイクル率98.1%を目標にしています。そんな中、身の回りの洋服や家電などの生活品を「リユース」する動きが今活発になっています。その背景には何があるのか、取材しました。

フリマアプリの普及で「中古品」が身近なものに 

 中古品のリユース業界大手の1つ「トレジャーファクトリー」。東大阪市にあるトレジャーファクトリー東大阪箕輪店には、ブランドもののバッグやソファ・机などの家具、さらには税抜き280円均一の古着まで約3万点の中古商品が並んでいます。こんなおしゃれなアイテムも。

 (山中真アナウンサー)「ナイキのスニーカー、エアフォースワン税込み9900円。きれいですよ。黄色を新品で買う勇気はなかなかないですが、リユースで少し安いなら。かわいいですね」

 業界全体で3兆円を超える規模のリユース市場(※リユース経済新聞の推計)。トレジャーファクトリーも業績を伸ばしていて、この季節に特に売れているのが家電製品です。その最大の理由は価格。新品で約14万円(※番組調べ)のドラム式洗濯機がほぼ半額。さらに小型冷蔵庫は税込み1万1000円です。

こちらの店舗では多くの家電製品を清掃・メンテナンスして動作を確認し保証をつけて販売しています。リユース業界ではこうした消費者に安心して買ってもらうための工夫が広がっているといいます。

 リユース店の商品の多くは店頭で一般の人から買い取って仕入れたものです。取材した日も商品を持ち込む人がー

 (客)「よく(売りに)来ます。シーズン、季節の変わり目とか」

こちらの女性は使い終えたカバンや財布、デジタルカメラなどを持ち込みました。その査定金額は…5616円!いま若い世代に人気のデジカメが2400円。バッグは1200円で財布にも600円の査定がつきました。

 (客)「(Qこのお金は何に使う?)ランチです。お友達とランチ。(Qごちそうしてあげる?)そうですね」

 こうした買い取りの風景もいまや日常になっているようです。

 (トレジャー・ファクトリー 小吹マネージャー)「リユース店では買い取りが切り離せない。買い取りが非常に重要な工程なので、それを担うスタッフの教育は引き続きの課題です」

市場の拡大の背景には中古品をめぐる消費者の意識の変化があるのだそうで…

 (リユース経済新聞 瀬川淳司編集長)「(中古売買は)どちらかというとネガティブな後ろめたい見られ方をされていましたが、『中古品はまだ使えるからいいよね』という買い物の仕方が『かしこい消費』と捉えられるように変わってきた」

 1970年の大阪万博が開催された頃はテレビなどを新品で買って所有することが豊かさの象徴でした。しかしリーマンショック以降の不況や物価高。近年はメルカリなどのフリマアプリが普及したことで中古品が身近なものになったといいます。

資源の有効活用・ごみ問題の解決に自治体も熱視線

 そんなリユース市場には自治体も注目しています。今年2月にオープンした「ジモティースポット岸和田・貝塚」。不要品の売買などを仲介するサイト「ジモティー」と地元自治体がある狙いでタッグを組んだ関西初の実店舗です。その特徴は「何でも無料で引き取り」(※リサイクル家電などは受け付け対象外)、「格安で販売する」こと。テーブルが300円、たこ焼き機も300円です。持ち込んだ物をお金にかえることはできませんが、一般的なリユース店より幅広く不要品を引き受けてもらえるそうです。古い額縁や器を持ち込んだ男性に話を聞きました。

「父が亡くなりまして、その片づけでいらないものを。買い取りしてくれるリユース店に持っていっても買い取ってもらえるのか微妙なものだったので、ただ単に捨てるのではなく、また再利用してもらえたら良いかと」

 自治体の狙いは「捨てられるごみを減らすこと」です。共同でごみを処理している岸和田市と貝塚市は減量を進めるため、市の広報で「不要品を捨てる前にこのお店に持ち込んでみては」と呼びかけています。

 (岸和田市・廃棄物対策課 宅田裕樹課長)「(岸和田市と貝塚市を合わせて)ごみ処理に年間30億円超の経費がかかります。今回の取り組みでごみの減量化が進めば経費の削減も期待できる」

 資源の有効活用やごみ問題の解決にも役立てられているリユース市場。一方で中古が売れると新品が売れにくくなるのでは?とも考えられますが…

 (リユース経済新聞 瀬川淳司編集長)「値段が安い分、リユース品で試してみようという、お試しでの購入につながるという面があるので、結果的に試して良かった場合、ブランドのファンになってくれたり新品の購入につながったり」

「パナソニック」もリユース市場に参戦「製品を使っていただく機会を増やす」

成長を続けるリユース市場。そこに家電メーカー大手、パナソニックも新たに参入しています。
  
 (パナソニックマーケティングジャパン 渡邊暦さん)「(Q「公式の中古」を取り扱っている?)2024年4月から本格的に始めています」

 ちょうど1年前に始まった「ファクトリー リフレッシュ」。店頭展示品や輸送中に傷がついたものなどを自社工場で整備。再生品として公式サイトで販売するサービスです。新品より2割~3割ほど安く買うことができるといいます。

新品で約28万円(※番組調べ)のドラム式洗濯機、再生品は約20万円。人気の商品は1分で売り切れることも。新品の売り上げに響きかねないこの新たなビジネス。背景には価格の問題から「新品には手を出しにくい」という消費者が増えている事情もあるといいます。

 (渡邊暦さん)「お客さまの価値観が大きく変わってきている。新品でなくてもいいというお客さまも増えている。再生品は少し値段が安いということで、(購入の)ハードルを下げることによってしっかりとお客さまに(製品を)使っていただく機会を増やす」

 再生品を買ってもらうことで、安価な海外メーカーに流れていた消費者にパナソニック製品のファンになってもらう狙いがあるそう。今後は家庭などで使い込まれた中古品の再生・販売も検討しているということです。

 (渡邊暦さん)「我々が品質の基準を満たした商品を提供することで、中古市場全体の品質の底上げにも貢献できればと考えています」

 リユース市場の拡大でライフスタイルにあった中古品を選ぶ機会が増えそうです。

MBS NEWS

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