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【堺市】“被災者の生活再建策 いま準備を”専門家が講演(NHKニュース)

南海トラフ巨大地震に備えて、自治体の職員向けの研修会が、12日、大阪・堺市で開かれ、被災者の生活再建をスムーズに進めるため被災者の情報の把握や運用について具体的な検討を急ぐよう専門家が呼びかけました。

堺市役所で開かれた研修会にはオンラインも含め大阪や兵庫などの自治体の職員およそ200人が出席し、被災者の支援制度に詳しい大阪公立大学の菅野拓 准教授が講演しました。
菅野准教授は「いまの支援制度は自宅の損壊程度にひもづいていて、全壊であれば、仮設住宅などに入居でき国の支援金も受け取れるが一部損壊ならこうした支援は受けられないなど、支援が届かない人が発生しているのが現状だ」と指摘しました。
また、被災者からの申請を待つことなく支援する側が訪問して課題を把握し、官民が連携して対応にあたる「災害ケースマネジメント」と呼ばれる手法をとることが早期の生活の再建に欠かせないとして、南海トラフ巨大地震に備え導入に向けた検討を急ぐよう呼びかけました。
具体的には、▼被災者のもとを訪ねる支援団体の選定や▼被災者の情報をまとめたデータベースの運用方法、▼それに、データベースに福祉サービスの利用状況をどのように合致させるかなどをあげていました。
研修会に参加した堺市の職員は「自分の部署の人員だけでは望ましい被災者支援はできないことがよくわかったので横断的な検討の場をつくっていきたい」と話していました。

【政府も災害ケースマネジメント法制化を検討】
官民が連携して被災者の生活再建を支援する「災害ケースマネジメント」は、東日本大震災の被災地で初めて本格的に導入されましたが、全国の自治体には十分に広がっていないのが実情です。
菅野准教授によりますと、ことし1月の能登半島地震で被災した自治体でも、体制が整備されていなかったことから官民連携による支援が実現するまでに2か月かかったということです。
このため、菅野准教授をはじめ複数の専門家や石川県は国に対し、災害救助法などを改正し「災害ケースマネジメント」を法制化するよう国に求めています。
これに対し政府は、ことし6月に決定した骨太の方針の中で「災害ケースマネジメント」をはじめとする被災者支援策の強化について「必要な制度の見直しを行う」としました。
また、石破総理大臣は、2026年度の設置へ向けて準備が進められている「防災庁」を、官民連携による支援の司令塔としての役割を担わせる考えを示しています。

NHKニュース

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