「第41回全日本自転車競技選手権 – BMXレーシング」が2024年10月12日(土)~10月13日(日)に2日間にわたり、大阪府堺市の大泉緑地サイクルどろんこ広場にて開催された。男子エリートでは中井飛馬選手、女子エリートでは藪田寿衣選手が今年度の全日本チャンピオンの座を獲得した。
今年のBMXレーシング種目の全日本選手権は昨年とは異なり連日天候に恵まれ、大会当日も雲ひとつない晴天の空の下、10月とは思えない暑さの中でプログラムは進行していった。
今回の会場となった「大阪府堺市大泉緑地サイクルどろんこ広場」では昨年、一昨年に引き続き3年連続の全日本選手権開催となり、チャンピオンシップ(エリート・U23・ジュニアを含む)とチャレンジカテゴリーを合わせて全34クラスにて老若男女のBMXライダーたちが全国から集まり日本一の座を争った。
また全日本選手権と言えば、「観るスポーツ」としても会場を盛り上げる演出の数々も欠かせない。今回も目を惹く大型バナーやスクリーンの装飾と観客エリアの設置や、チャンピオンシップカテゴリー決勝の選手呼び込み時にはスモークを使用するなど特殊効果演出が、観客や選手たちのボルテージを最高潮に引き上げていた。
以下は、今大会大注目のチャンピオンシップカテゴリーの決勝レースのレポートである。
なお今回、チャンピオンシップカテゴリーは人数の関係から各種目にて予選決勝を含む3ヒート合計の順位で争われたため、本記事では表彰台を確定させた最終レースのみをピックアップして紹介する。
男子エリートは中井が2019年ぶり自身2度目のタイトル、女子エリートは藪田がエリート初タイトルを獲得
男子チャンピオンシップカテゴリー
男子エリートクラスは総勢8名のエントリーとなった中で日本一の座を争う形となった。今回は3ヒート合計というフォーマットも相まって、1レースでも失敗するとダイレクトに最終結果に響いてくることから、拮抗したレース展開を見せていた。
なお今回最終レースでのポイントとしては、1本目と2本目を1位通過して日本一に大手をかける中井飛馬を、暫定2位の一昨年の全日本チャンピオンの島田遼と、暫定3位の昨年の全日本チャンピオンの増田優一が抑えることができるかに勝敗が分かれる戦いに思えた。
しかし、そんな周りの予想をよそに今回も見事なスタートダッシュを決めたのは、世界最高峰で活躍し日本のBMXレーシングシーンを牽引している中井飛馬。
最終レースは6コースということもあり、一番インコースからのスタートとなった増田の猛追も懸念されたが第1コーナーで前へ出ると、その後のプロセクションや第3ストレートもそのリードを保ったまま最終コーナーへ。2位につけた増田が猛チャージで距離を縮めるもわずかに届かず、中井が最後まで逃げ切り2019年から5年ぶりとなる自身2度目のエリートクラスでのタイトルを獲得した。そのまま2位には増田、3位には島田という着順になったが、1本目と2本目の合計でリードした島田が最終的に2位、増田が3位で今大会を終えた。
ここ数年、パリオリンピック予選大会もある中で何度も大怪我に見舞われ自分の思うようなレースができておらず悔しい思いをしてきた中井。そんな彼が今回5年ぶりの全日本タイトルを見事獲得した。ロサンゼルスオリンピックに向けて新たな4年が始まろうとしている中で、幸先良いスタートを切った彼が今後国内外のレースでどんな走りを見せてくれるのかにも注目だ。
男子アンダー23クラスには計7名が集まり日本一の座が争われたが、一本一本が重要であるためか、2本目ではプロセクションで選手2名が接触して転倒したり途中棄権となるなど、まさに「自転車の格闘技」といった内容で最後の最後まで結果がどうなるかが分からない波乱の展開が繰り広げられた。
そんな中、5名の選手で迎えた最終レースは、優勝候補の一角であった中林凌大が1本目と2本目を上回るべく1位でゴール。しかし1本目と2本目を1位を収めて3位で最終レースを終えて、終始安定した強さを見せた地元大阪の北川晃久が優勝し初タイトルを獲得。同じく安定して2位ポジションを守った島田壮が2位、その後に中林凌大が3位と続く形となった。
男子ジュニアクラスは6名の選手がエントリー。途中で1名の棄権もあり5名の選手で迎えた最終レースは、1本目で1位、2本目で2位と安定してトップ位置を守った地元大阪の狩峰颯太郎がここも1位で収めて初タイトルを獲得。その後に続き野村羽玖が2位、岸龍之介が3位と続く形となった。
女子チャンピオンシップカテゴリー
女子のチャンピオンシップカテゴリーに関しては、今回も出場者数の関係からエリート・U23の2クラスが統合での開催となった。6名の選手が集まった今大会は統合クラスでの戦いになったものの、今回の出場メンバーは東京オリンピックとパリオリンピックの2大会連続日本代表の畠山紗英をはじめ、各クラスの前年度のアジアチャンピオンである藪田寿衣や西村寧々花など世界を股にかけて活躍する日本代表選手たちが勢揃いした。
レースの展開としては、各レースで接触や転倒があり最後まで結果がわからない展開に。最終レースではスタート後に畠山と丹野が接触し丹野が転倒。その転倒には巻き込まれず見事に逃げ切り、3本共に安定した順位を残した藪田寿衣が全日本チャンピオンタイトルをエリートカテゴリーで勝ち取った。その後に続いたのは前年度のタイトルホルダーでオリンピアンの畠山、そしてベテランの瀬古という順になった。
U23カテゴリーのタイトル争いは野村と西村による一騎打ちとなったが、昨年タイトルを逃して悔しい思いをした西村が3本とも強さを見せるライディングで野村を上回りが見事タイトルを獲得した。
大会結果
<男子エリート>
優勝: 中井 飛馬 (ナカイ・アスマ) / MONGOOSE・ XLARGE
準優勝: 島田 遼 (シマダ・リョウ) / GAN TRIGGER
3位: 増田 優一 (マスダ・ユウイチ) / 大阪体育大学
<女子エリート>
優勝: 籔田 寿衣 (ヤブタ・ジュイ)
準優勝: 畠山 紗英 (ハタケヤマ・サエ)
3位: 瀬古 遥加 (セコ・ハルカ)/ iRC Tire
<男子Under23>
優勝: 北川 晃久 (キタガワ・アキヒサ) / Deux Roues Elite Team
準優勝: 島田 壮 (シマダ・ソウ) / S-PRO BMX CLUB
3位: 中林 凌大 (ナカバヤシ・リョウタ) / 弱虫ペダルサイクリングチーム
<女子Under23>
優勝: 西村 寧々花 (ニシムラ・ネネカ) / 大阪体育大学・GAN TRIGGER
準優勝: 野村 凪沙 (ノムラ・ナギサ) / Ace Race Australia Factory Team
<男子ジュニア>
優勝: 狩峰 颯太郎 (カリミネ・ソウタロウ) / STAYSTRONG JAPAN・Deux Roues Elite Team
準優勝: 野村 羽玖 (ノムラ・ハク) / NoLogo Racing Japan
3位: 岸 龍之介 (キシ・リュウノスケ) / モトクロスインターナショナル
大会概要
⼤会名称 : 第41回全日本自転車競技選手権 – BMXレーシング
開催期間 : 2024年10月12日(土)~10月13日(日) -2日間-
大会会場:大阪府堺市 大泉緑地サイクルどろんこ広場(大阪府堺市北区金岡町128)
主 催 : 公益財団法人日本自転車競技連盟
主 管 : 一般社団法人全日本フリースタイルBMX連盟
後 援 : 大阪府、堺市、堺市教育委員会、公益財団法人JKA
協 力 : 大阪府自転車競技連盟、特定非営利活動法人ドゥールース(サイクルピア岸和田)
特別協賛:TOYO TIRE
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