衆院解散から投開票まで戦後2番目に短い18日間の超短期決戦となる衆院選(15日公示、27日投開票)を控え、大阪府の阪南市選挙管理委員会では、投票箱が不足する事態に直面している。もともと予定されていた市長選に、衆院選と府議補選が加わる「トリプル選」となり、調達が間に合わないため。1つの投票箱に、異なる2つの選挙の票を投じてもらうことで乗り切る算段だが、選管側はミスが起きぬよう神経をとがらせている。
市選管は今年4月、現職の任期満了に伴う市長選の日程を10月27日と決定した。
そして10月に入り、就任したばかりの石破茂首相が衆院選の日程を27日投開票と改めて表明。同じタイミングで阪南市長選への立候補を表明していた地元選出の府議が辞職し、それに伴う府議の補欠選挙が加わる形となった。
取材に対し、選管の担当者は「総がかりで対応する」と強調。トリプル選には、前回の市長選よりも約50人多い延べ150人以上の態勢で臨むが、人口規模約5万人の中小自治体にかかる負担は小さくない。
投開票日当日、選管は投票所を22カ所に設置。衆院選小選挙区▽衆院選比例代表▽最高裁判所裁判官の国民審査▽市長選▽府議補選-の計5種類の投票用紙を準備する。
通常、有権者はそれぞれの票を異なる投票箱へ投じるが、今回は投票箱の数が足りず、一部投票所では、5つの投票箱のうち3つしか準備できない事態となった。
選管によると、投票箱が3つしかない投票所では、衆院選で1つ、市長選と府議補選の票は同じ投票箱に入れてもらうことなどで対応。担当者は「選挙ごとに用紙の色が異なり、開票箱を開いてすぐに仕分けるため票の集計を誤ることはない」と語るが、当日現場が混乱する可能性は否定できない。過去にトリプル選の経験はなく、「初めてのことなので開票作業がいつ終わるのか分からない」と不安も口にする。
また、公示日の4日前においても候補者を紹介する公営掲示板は、一部で設置が追いついていない。担当者は「(選挙本番で)ミスがないよう細心の注意を払いたい」と気を引き締めている。(藤原由梨)
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