高石市は、羽衣駅周辺について、南海本線・高師浜線(高石市)連続立体交差事業により、分断されていたエリアが一体となったことから基本構想で記されたまちづくりの方向性を踏まえ、市民が共感する魅力ある将来像と実現のための大まかな道筋を示す「羽衣駅周辺整備基本計画」を策定する。駅前広場は本基本計画の策定後、実施設計や関係機関協議をふまえ、28年度中の供用をめざして整備を行う。また、北ヤードは官民連携による事業推進を想定し、サウンディング等により民間事業者のニーズを把握、事業手法を設定する。
南海羽衣駅及びJR東羽衣駅の駅周辺エリアは、アクセスの利便性に優れる一方で、長年、平面鉄道により東西のまちが分断されていた。そのため、駅周辺の回遊性や一体性、また駅の西に位置する浜寺公園、東に位置する羽衣国際大学等、地域資源のつながりや連携などが課題となっている。そのような課題を解消するため、96年に都市計画決定された「南海本線・高師浜線(高石市)連続立体交差事業」が進められ、21年5月に上り線の高架化工事が完了した。23年3月に策定した羽衣駅周辺整備基本構想では羽衣駅周辺えきまち連携会議、社会実験を踏まえ、南海羽衣駅を中心とした半径500mを対象区域とし、「ひととまちが交わる魅力づくり拠点」をコンセプトとするまちづくりの方向が示された。基本構想で記されたまちづくりの方向性を踏まえ、市民が共感する魅力ある来像と実現のための大まかな道筋を示すために基本計画を策定する。
対象区域は①南海本線羽衣駅・駅前広場等および高架下②府道羽衣停車場線および羽衣駅前線(羽衣通り)③JR東羽衣駅北用地(北ヤード)。
駅前広場及び周回道路の基本整備プランは▽駅の東西に2つの広場を設置〈「人で賑わう交流空間」と「緑がある居心地の良い滞留空間」を実現するため、南海羽衣駅の東西に2つの広場を設置する。駅前広場(西側)の規模は約1500㎡、駅前広場(東側)約900㎡〉▽歩行者動線とタクシー・自動車の送迎等の交通結節機能に留意した周辺道路の整備〈駅前広場を起点とし、来訪者が駅周辺に点在する商店・飲食店に快適に歩いて回ることができるよう歩道および歩行空間を整備。道路の安全かつ円滑な通行を確保するため適切な台数の停車帯を東西に設ける〉。
北ヤード及び羽衣通り整備の方向性は【北ヤード】①北ヤードは同市所有の土地であるため、公共性の高い機能誘導と空間整備を行うことを基本方針とする。当該敷地の立地条件はJR東羽衣駅に隣接し、戸建住宅を主とする住宅街に囲まれた敷地であり、敷地へのアクセス道路が限られるなどの特性をもつことから、鉄道での利便性を活かしながらも、周辺環境との調和に留意して事業を進める②北ヤードにおける整備方針は、「羽衣駅周辺整備における基本方針」に沿って、周辺の地権者等の利害関係者と調整し引き続き整備の方向性について検討する。官民連携による事業推進〈(1)北ヤードの開発ポテンシャルを活用(市民が求める公共性の高い機能の誘導を実現するためにはその整備および管理運営において相応の市の負担が生じる。一方で市所有の北ヤードは一定の規模の開発が可能なポテンシャルを有する。都市計画制度の活用等により、延約1万0800㎡(敷地面積約2700㎡×容積率400%)程度の開発が可能)(2)良質な公共サービスを提供するために有効な事業手法を検討(公共性の高い機能の整備および管理運営に関してノウハウを有する民間事業者と連携し北ヤードの整備を進めることで、市の財源負担を縮減しつつ質の高い空間整備と公共サービスを提供する。今後、北ヤードの整備方針に沿った事業を進めるために民間事業者と連携するための開発要件を仮設定し、サウンディング調査等により民間事業者のニーズ把握や事業推進上の課題を検証した上で、有効な事業手法を検討する。官民連携による事業推進を行うには市民ワークショップの意見等をふまえた公共性の高い機能の設定や導入方法、官民連携の事業手法の設定など事業要件について慎重に検討する必要がある。これらの課題解決の目途を確認したうえで、供用時期など事業計画については本基本計画以降に改めて検討する)(3)北ヤードの事業環境を改善することが当面の課題(民間事業者の開発意欲を引き出し地域活性化等の効果を高めるため、羽衣通りから北ヤードにアクセスする道路幅員の拡幅(6m以上など)、周辺地域の居住者や利害関係者との調整、公共サービスの要件整理と所管部署の設定など、市として対応可能な課題に取組み事業環境を改善する)〉【羽衣通り】浜寺公園を貴重な地域資源として取り込む(羽衣の貴重な資源として取り込み、「駅から拡がる、歩いて楽しいまちづくり」を実現する第一歩となる取り組みとして、羽衣駅から浜寺公園に至る羽衣通りをシンボル通りとしての整備を検討する)。
事業スケジュールは▽駅前広場は本基本計画の策定後、実施設計や警察等の関係機関協議をふまえ、28年度中の供用をめざして整備を行う▽北ヤードは官民連携による事業推進を想定。公共性や周辺地域との調和に配慮した機能や空間のあり方、官民の役割分担のあり方など事業要件を整理した上で、サウンディング等により民間事業者のニーズを把握し、事業手法を設定することが当面の検討課題▽羽衣通りは浜寺公園と2駅を結ぶシンボル通りとして整備することを検討している。そのため沿道の地権者や事業者など利害関係者と事業目標や実現までの大まかなプロセスを共有するための対話に取組み、羽衣通りを対象とした整備計画等を作成することが課題となる。
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