来年で戦後80年となり戦争体験者が少なくなる中、1800人以上が犠牲となった大阪の「堺大空襲」について知ってもらおうと、今月(12月)、大学生たちが語り部を務める平和学習会が市内の小学校で開かれました。
堺市と地元の羽衣国際大学は1860人が犠牲となった昭和20年7月10日の「堺大空襲」の記憶を次の世代に伝えていこうと、ことし9月から学生を語り部として育てる特別講義を行っています。
受講生は15人で、当時の資料を集め空襲を経験した人から聞いた話をもとに、今月16日、堺市の向丘小学校の小学4年生から6年生の児童に伝えました。
このうち、3年生の木村貴子さん(20)は空襲で自宅を失うなどした中野亘子さん(87)の体験を紙芝居にまとました。
中野さんが目にした空襲の光景だけでなく、日常が壊されていく様子も伝えたいと当時の子どもたちの服装や暮らしぶりなども丁寧に描きました。
木村さんの感情のこもった語り口に子どもたちは真剣な表情で聞き入っていました。
4年生の男子児童は「堺市でもこんなに大きな空襲があったとは知らず驚きました。紙芝居はとてもわかりやすく心に残りました」と話していました。
木村さんは「自分なんかが戦争を語っていいのかとても不安が大きかったですが子どもたちの反応がよく戦争が何気ない日常や家族とのつながりを破壊する恐ろしさを感じてくれたのではないかと思います。2回目、3回目と続けていきたいです」と話していました。
堺市と大学では来年度からは一般の人も募集して講義に加わってもらい語り部を育成することにしていて、市人権推進課の山口修平さんは「『当事者の人たちがいなくなったらそれで終わり』ではなくていつまでも語り継いでいける、持続可能な取り組みにしていきたい」と話していました。
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