自治会費など約3300万円を着服したとして、大阪府警が業務上横領の疑いで、堺市中区の辻之自治会元会長で木工加工業の男(67)を書類送検していたことが18日、捜査関係者への取材で分かった。元自治会長は「事業の運転資金に充てた」という趣旨の説明をしているという。
大阪地検堺支部は10月、元自治会長を同罪で起訴。起訴状によると、同自治会長だった平成26年4月~令和5年3月、自治会名義の定期貯金を無断で解約するなどして計約3300万円を着服したとしている。
関係者によると、元自治会長は、会で管理していた土砂災害の工事費用65万円や防犯カメラの補助金約24万円を着服するなど不正を繰り返していた。チェックや引き継ぎの不備があったとみられる。
令和4年夏ごろに、不明瞭な会計があるとの疑いが浮上し、自治会が調査に乗り出して発覚。府警に告訴した。
詳細な監査行われにくいゆえに
同一人物が長期にわたって役職を務めることが多く、詳細な監査が行われにくい自治会を巡っては、多額の横領事件が後を絶たない。山梨県韮崎(にらさき)市では今年5月、自治会の会計役員だった女性が140万円以上を着服したとして甲府地裁で有罪判決を受けた。奈良県斑鳩町でも5月、元町議の男性が自治会費など約755万円を横領した罪に問われ、奈良地裁から懲役2年4月の実刑判決を言い渡されている。
総務省によると、自治会や町内会といった「地縁団体」は全国に約30万団体。3年の加入率は約7割(把握自治体分)だが、近年は減少傾向が続く。担い手不足や高齢化が背景にあるとみられ、健全な運用や持続可能な態勢づくりが課題となっている。
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