堺市は総合評価方式でのICT活用工事の新たな評価方法として、2026年度から「提案評価」を導入する。詳細は今後検討し、「総合評価方式ガイドライン」に盛り込む。現行の「実績評価」は24年度末で原則廃止し、これに伴い「ICT活用証明書」の交付を取りやめた。評価方法の見直しに合わせ、ICT活用工事試行要領を改定した。
これまで市は発注工事でICT活用の取り組みを定着させるため、3D起工測量や3D設計データ作成など、所定のプロセスを実施した受注者に対し「ICT活用証明書」を交付し、総合評価での実績評価の加点対象としてきた。
一方で、国土交通省が土工や浚渫工へのICT活用を原則化する方向で検討を進めるなど、ICT施工に携わる業者層の裾野が大手にとどまらず中小企業にも広がりつつある。堺市が発注する工事でも活用実績を持つ入札参加者が増えており、証明書の有無だけでは評価の差が付きにくくなってきた。
こうした状況を踏まえ、実績に代えてより主体的な活用提案を評価する方式へ転換する。26年度は移行期間とし、実績評価と提案評価の両方を活用可能とする方針。同年度版のガイドラインに具体的な運用を盛り込む。
これに伴うICT活用工事試行要領の改定では証明書発行廃止に加え、「部分的ICT施工」の定義も一部見直す。従来は3D起工測量と3D設計データ作成を行えばICTを部分活用したとみなしてきた。本年度4月以降は、この組み合わせでの部分活用を認めないようにする。ICT建機による施工や3D出来形管理の実施が別途必要になる。
堺市の担当者は「ICT施工の導入が広がる中、実績だけでは業者の差が見えにくくなってきた。各社が現場特性に即した工夫を提案することで、より実効性のある活用が進み、生産性の向上や技術の底上げにつながるのではないか」と話す。
【堺市】ICT活用工事26年度から「提案評価」、証明書交付取りやめ(日刊建設工業新聞)
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