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【堺市】「堺能楽会館」が56年の歴史に幕 館主は「能舞台を寄贈したい」というが移築先決まらず(産経新聞)

半世紀以上にわたってさまざまな人たちに親しまれてきた「堺能楽会館」(堺市堺区大浜北町)が年内で閉館する。昭和44年にビル内に完成した会館は本格的な能舞台を備えているが、耐震性の問題があり年内でビルを取り壊すことになった。能舞台を寄贈したいという館主の大澤徳平さん(92)は「市民のために生かしてほしい。私の命のあるうちに移築先を決めたい」と話している。

堺能楽会館の始まりは昭和44年2月。江戸時代から続く造り酒屋だった大澤家が所有する土地に日本住宅公団(当時)と共同で、7階建ての店舗付き集合住宅を建設することになり、能楽好きだった一家はビルの一部に能舞台をつくることにした。大澤さんは「私たちきょうだい6人が観世流の謡曲を習っていて、最初は家族用の稽古場のつもりだった」と振り返る。しかし、母の美代さんは「堺の歴史にふさわしい本物をつくるべきだ」として、宮大工や能楽師を呼び寄せ、ビルの1階から3階を吹き抜けにした総ひのき造り、檜皮(ひわだ)ぶき、154席の本格的な能舞台を完成させた。

約70世帯が入居する集合住宅の中にある能楽堂という珍しさもあり著名な演者が舞台に立ち、多くの愛好家が集まった。美代さんは能や狂言以外の公演を「そんなんするためにつくったんとちゃう」と嫌がったというが、大澤さんはクラシック音楽や津軽三味線などの演目も受け入れた。昭和63年には当時トップアイドルだった少年隊がテレビ番組の生中継で歌ったこともあったという。大澤さんは「能舞台という文化財を次世代につなぐために、いろいろな使われ方も必要」と理由を語る。

産経新聞

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