電子部品の性能評価で国内大手のクオルテックは、電気自動車(EV)などで電力を制御するパワー半導体の専門拠点を堺市内に開設した。従来3カ所に分かれていた機能を集約し、試験の請負能力を5割高めた。投資額は3億円超。自動車の電動化にともないパワー半導体の開発が活発になっており、需要が伸びると判断した。
新拠点の名称は「パワエレテクノセンター」。建物の延べ床面積は1500平方メートルで、集約前の3拠点の合計より5割大きい。試験のための装置は一度に90台が稼働可能で、従来より30台以上増やした。
パワー半導体は大きな電力を制御できる半面、高温になりやすい弱点がある。新拠点は、EVやハイブリッド車向けのインバーターなどを手がけるメーカーから依頼を受け、過酷な環境のもとでもパワー半導体が正常に作動するかどうかを試験する。
具体的には電流を短い周期で流したり止めたりすることで温度を上下させ、それによる性能の変化、熱膨張の異なるほかの部材への影響などを計測する。長時間の連続試験に対応するため、24時間365日の稼働も可能にした。
同社の主力事業である性能評価の売上高は2024年6月期に31億円で、そのうちパワー半導体は5億円超だった。専門拠点の開設をテコに、これを27年6月期には8億円超に伸ばすことを目指す。
パワー半導体をめぐってはEVの性能向上のための開発競争が激しくなっており、炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)などの新素材が相次ぎ登場している。それにともない同社には3、4年後に発売される新車のための試験依頼が数多く寄せられているという。
同社の性能評価の主要取引先は自動車関連で、デンソー、富士電機など。23年には立命館大発スタートアップのパテンティクス(滋賀県草津市)と資本提携し、二酸化ゲルマニウム(GeO2)を使った次世代パワー半導体の開発にも取り組んでいる。
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