緊迫する日中関係を背景とし、中国外務省が日本への渡航自粛を呼びかけたことで、両国を結ぶ航空路線にも大きな影響が出始めている。英国のデータ分析会社「シリウム(Cirium)」によると、日本と中国本土を結ぶ路線は11月は169路線、12月は172路線となり、両国らの航空22社が運航する。運休や減便などは中国系の航空会社で複数みられるが、日系各社に運休・減便の目立った動きは現在のところ確認できていない。一方、日本航空(JAL/JL、9201)傘下のLCCで中国本土路線に特化したスプリング・ジャパン(旧春秋航空日本、SJO/IJ)は、当初の計画通り中国路線を再開する見通しだ。
—記事の概要—
・日系5社、中国系は16社乗り入れ
・11月は18路線に影響
・12月は復便も
日系5社、中国系は16社乗り入れ
日中を結ぶ路線を運航する航空22社のうち、日系は全日本空輸(ANA/NH)とJAL、スプリング・ジャパン、ピーチ・アビエーション(APJ/MM)、ジェットスター・ジャパン(JJP/GK)の5社。11月は5社合計で25路線、12月は27路線を計画する。
日系で最多の11路線を運航するのはANAで、JALの8路線が続く。
中国系は中国国際航空(エアチャイナ、CCA/CA)と中国東方航空(CES/MU)、中国南方航空(CSN/CZ)の大手3社に加え、春秋航空(CQH/9C)など16社が乗り入れ、11月は143路線、12月は144路線運航する。このうち最多は中国東方航空の29路線。春秋航空と中国南方航空の20路線ずつ、中国国際航空の18路線が続く。
また、冬ダイヤ初日の10月26日からはカンボジアのエア・カンボジア(KHV/K6)も乗り入れ、プノンペン-成田線を福州経由で運航する。
空港別では、中国側が上海(浦東・虹橋)や北京(首都・大興)、大連など36空港から乗り入れる。このうち最も多いのは浦東の53路線。北京(首都)が12路線で続く。
日本側は関西空港と成田、羽田、中部など20空港が中国本土と結ばれている。関空は最多の58路線を運航する。
11月は18路線に影響
シリウムが提供する日中間に関するデータは、中国政府が渡航自粛を呼びかける前の11月12日時点と、呼びかけ後の20日時点で比較。11月は21日から30日まで、12月は1日から31日までを調査対象とした。
11月は12日時点で22社が169路線1744便(往復)を運航する計画だったが、20日時点では26便減の1718便となった。運休や減便など影響が出るのは18路線で、このうち運休は深セン航空(CSZ/ZH)の運城-中部線。深セン航空の南京-関西や中国南方航空の大連-関西、春秋航空の大連-福岡など14路線が減便となる。また、中国東方航空の南京-成田と上海-福岡、中国南方航空の瀋陽-成田の3路線が座席数を減らす。
一方、スプリング・ジャパンは成田-ハルビン線を25日に再開する。
12月は復便も
12月は22社が172路線5504便を運航する計画だったが、19便減の5485便に変更となった。影響が出るのは13路線で、このうち春秋航空は大連-福岡線を運休。中国国際航空の上海-関西・札幌(新千歳)や深セン航空の無錫-関西など10路線が減便となる。また中国国際航空の北京-関西と、上海吉祥航空(DKH/HO)の上海-札幌の2路線で座席数が減少する。
一方、座席増となるのは北京首都航空(CBJ/JD)の北京(大興)-札幌と上海吉祥航空の上海-関西の2路線。スプリング・ジャパンは成田2路線を順次再開し、南京線は8日から、大連線は9日から運航する。また、海南航空(CHH/HU)が重慶-関西線を再開するほか、11月で運休した深セン航空の運城-中部線が復便となる見通し。


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