人口減少は大阪府内でも進んでいる。存続が危ぶまれる市町村がある一方、若者の流入で人口が増えている大阪市は出生率が低く、それぞれに課題への対応が求められている。
府人口は2010年の886万人をピークに減少傾向が続いており、24年は877万人。19~24年の5年間で府内の43市町村のうち、37市町村で人口が減少した。民間有識者でつくる「人口戦略会議」は24年、出産の中心世代となる20~39歳の女性が20年から50年にかけて50%以上減る府内の12市町村を「消滅可能性自治体」に挙げた。
大阪市は若者や外国人の流入で人口は近年増えており、24年は279万人と5年間で約5万人増えた。ただ、大阪市は同会議で、出生率が低く、他地域からの流入で人口を支える「ブラックホール型」とみなされている。20年の合計特殊出生率は1・16%と府平均の1・31%を下回り、市の担当者は「出生率は低いままで危機感を持っている」と、習い事代の補助などの子育て支援に力を入れている。
人口減が進む市町村は、歯止めをかけようと対策に奔走している。「消滅可能性自治体」に挙げられた河内長野市は今年度から、保育所や認定こども園向けに、紙おむつの定額使用サービスを導入するための補助金を導入した。保護者の経済負担を減らし、子育てしやすい環境を整えるのが狙いで、市の担当者は「何もしなければ衰退してしまう。若者に選ばれるような施策を進めていく」と話す。
同じく「消滅可能性自治体」とされた太子町は18年、若者の定住を促すため、町内の親世帯と同居・近居する場合、住宅の取得や改修の費用を助成する制度を創設。転入が転出を上回る年もあり、町は「他市町村への転出者数は緩やかになり、一定の効果はあった」とする。


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