13日に開幕した大阪府岸和田市の岸和田だんじり祭のハイライトの1つで岸和田市内22町のだんじりが集結する13日の「パレード」。最もだんじりが走りやすいとされるトップバッターは藤井町のだんじりだった。同町のだんじりは今年5月、大阪・関西万博で、大阪の伝統的な祭りなどを紹介する「大阪ウィーク」に岸和田の代表として参加した。町会長の中村佳博さん(64)は「年に2回もだんじりを曳行でき、魅力をアピールできたことは誇らしい」と話す。
13日午後、「信長公記」を題材にとった彫刻を四面に施した藤井町のだんじりが、南海電鉄岸和田駅前にトップバッターで登場した。同町のだんじりは市内でも最大級。パレードが始まると500~600人の曳き手らが勢いよく市内を疾走した。
万博への出展が決まったのは2月初旬。会場への輸送費など予算面での持ち出しもあり、岸和田からなかなか手を挙げる町がなかった。中村さんは、22町で作る祭礼町会連合会の今年度の会長であることや、2年前に大修理しただんじりを多くの人に見てもらいたいとの思いで出展を決めた。
「祭りの前に祭りをするようなもの。3カ月間毎週のように会議が必要で、町会に負担をかける。また、通常の曳行に比べ参加人数が制限されるなど困難もあったが腹をくくった」
そして5月9、10日、万博会場には大阪府内のだんじりややぐらなど約40台が集結し、伝統文化を世界に発信した。岸和田からは他の21町会長も全員顔を出してくれ、10日にはやりまわしの実演も行った。「大変な盛況で、岸和田の結束力をみせることができた」と振り返る。
万博出展後は「万博に集中して燃え尽き、〝万博ロス〟になった若手もいる」といいながら、本番の9月に向け、気合を入れなおした。すると同月1日に行われたパレード順をくじで決める「三郷の寄り合い」で10年ぶりに1番を引き当てた。「今年は藤井町にとって印象深い年になった」
岸和田の代名詞ともいえるだんじりだが、近年は少子化などで「祭り離れ」もみられるという。中村さんは「せっかく万博で国内外にアピールできた。だんじりは勇壮華麗な動く芸術品。多くの人にだんじりのよさを見てほしい」と話した。(藤原由梨)
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