SNS上での投稿により名誉を傷つけられたなどとして、在日コリアン3世で会社役員の李香代氏(60歳)が、大阪府泉南市の添田詩織市議に対し550万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が2026年7月29日、大阪高裁でありました。
谷口安史裁判長は、一審(大阪地裁)の判決(55万円の賠償命令)を破棄し、賠償額を88万円に増額して添田市議に支払いを命じました。なお、原告側が主張していた「人種差別(民族差別)に該当する」との訴えについては、一審と同様に認められませんでした。
判決の概要
- 事件名: 名誉毀損等損害賠償請求控訴事件
- 判決日: 2026年7月29日(水曜日)
- 裁判所: 大阪高等裁判所(谷口安史 裁判長)
- 原告(控訴人): 李 香代 氏(在日コリアン3世・会社役員)
- 被告(被控訴人): 添田 詩織 氏(大阪府泉南市議会議員)
- 主文内容: 被告に対し、88万円の損害賠償支払いを命じる(損害額の認定を一審より増額)。
裁判所の判断と認定事実
- 違法性の認定: 一審に引き続き、添田市議による投稿が原告に対する名誉毀損およびプライバシー権の侵害に該当すると認定されました。
- 増額(88万円)の理由: 高裁は、添田市議がSNS上で一定の影響力を有している点を踏まえ、「インターネット上のみならず、一定の政治的思想を持つ者による原告への攻撃を誘発する危険があり、原告の受けている不安と恐怖は小さくない」として、被害の重大性を一審より重く評価しました。
- 人種差別主張に対する判断: 原告側が求めていた「人種差別撤廃条約上の人種(民族)差別への該当性」については判断・認定を行いませんでした。
事件の経緯と双方の主張
- 投稿の経緯: 添田市議は、中国にルーツを持つ経営者の企業が泉南市と業務委託契約を締結している点を問題視する一連の投稿の中で、同社に勤務する李氏の顔写真を無断掲載した上で、朝鮮学校無償化運動への関与や、過去の親族(いとこ)に関する事件等に言及していました。
- 添田市議側の主張: 「投稿には公共性・公益性が認められるべきであり、人種差別を目的としたものではない」と主張。
- 判決後の原告側の対応: 李氏は「民族差別と認められず納得がいかない」とコメント。弁護団は司法が人種差別撤廃条約上の検討を行わなかった点について批判の旨を表明しました。



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