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【堺市】障害のある子供も活躍できるサッカー 関西でリーグ戦立ち上げへ 8月末までCF(産経新聞)

身体障害や発達障害のある子供らのためにサッカー教室を開いている大阪府内のNPO法人が本格的なチームを立ち上げ、関西でリーグ戦を創設する準備を進めている。クラウドファンディング(CF)で運営資金などを募集しており、関係者は「障害のある人も健常者も、ともに暮らす社会をつくる一歩に」との願いを込める。

団体競技に躊躇

堺市内の特別支援学校教員、河原畑(かわらばた)康高さん(42)は令和元年にNPO法人「Teamプレイズ」を立ち上げ、障害のある子供たちが参加できるサッカー教室を毎月開催している。未就学児から高校生まで毎回30人程度がボールを蹴って汗を流している。

NPOの設立は、中学校のサッカー部顧問をしていたころの河原畑さんの体験が動機の一つになっている。

ある練習試合で、相手チームが知的障害のある選手を途中出場させた。だが、その選手は何をしていいか分からず、ピッチで動けなかった。チームメートの声掛けは厳しく、5分後に交代させられた。河原畑さんは「特別な光景じゃなく、きっとこれが日常なんだろう。同じ経験をした子供はたくさんいるのではないか」と思ったという。

河原畑さんによると、障害のある子供は陸上や水泳などの個人競技を選ぶことが多く、団体競技は少ない。体をうまく動かせなかったり、コミュニケーションが苦手だったりして、保護者も参加させることに躊躇(ちゅうちょ)するという。

スポーツから共生

一方、特別支援学級に通う子供は増加している。文部科学省の調査では令和5年度に小中学校の特別支援学級に在籍する児童生徒は約37万3千人に上り、10年前の2倍超に。通常の学級とは別々に過ごすことが多く、河原畑さんは「共生社会といわれているが、そうなっていない。健常者は障害のある人と接する機会も少なく、対応の仕方が分からない。教育の場で難しいなら、スポーツの場を作ることで、社会を変えていきたい」と設立の意図を説明する。

サッカー教室を続けてきて、子供の変化も実感できた。知的障害と多動症のある小学校低学年の児童は最初はボールも蹴れず、練習に来てもコーンを投げて遊ぶなど、スタッフがつきっきりで対応していた。だが1年半後には、みんなと一緒に練習メニューをこなせるようになったという。

ダウン症の高校生の息子を通わせている堺市内の女性は「体を自由に動かすことは、生き方につながる。サッカーはひとつのツールで、サッカーを通じて子供の人生が楽しくなれば」と参加理由を語る。

NPO設立から6年、「試合をしたい」という声も上がるようになった。そこで調べてみると「日本障がい者サッカー連盟」には知的障害や視覚障害など7団体が加盟しているものの、子供向けの活動はしていないことが分かった。一方で河原畑さんのNPOと同様の取り組みを行っている団体が滋賀県や京都府などにあり、協力して関西地域でのリーグ戦立ち上げを決めた。

今年10月にチーム活動を始め、来年4月のリーグ戦開幕を目指す。会場費など運営費用に充てるため、CFの「for Good」で資金を募っている。

河原畑さんは「欧州の街のスポーツクラブには障害者のチームがあるのが当たり前と聞く。日本でも、地域でそういうチームに参加できる状況をつくりたい」と話した。

CFは31日まで(https://for-good.net/project/1002188)。

産経新聞

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