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【忠岡町】「国旗国歌の前では起立する」大阪に誕生した共産党員町長 独占取材で聞いた決意と戦略(産経新聞)

日本一面積が小さい町である大阪府忠岡町に5月、現職としては全国で3人目となる共産党員の首長が誕生した。前町長の不祥事に伴う町長選に立候補し、町議として33年間、町を支えてきた実績などが評価され、初当選を果たした是枝綾子氏(61)。メジャーリーガーの前田健太投手や福岡ソフトバンクホークスの藤本博史・元監督らを輩出した同町で、初の女性町長でもある是枝氏に今後の展望などを聞いた。

「町長に就任し、町議や住民団体側から見る町政と、執行機関である町長から見る町政はまったく違った部分があります。特に公共施設の老朽化は大きな課題だと把握しました」と、是枝氏は当選後の約1カ月を振り返る。

是枝氏は大阪府泉大津市出身。日本福祉大在学時に、障害を持つ友人や、自閉症の子供らと知り合ったことをきっかけに、「政治の貧困を何とかしたい」と日本共産党に入党した。堺市の病院で知り合った同僚と結婚後、忠岡町議に27歳で初当選。以降33年間、子育て支援や学校給食の改善など、町のために尽くしてきた。

忠岡町では今年3月、入札情報を漏洩(ろうえい)したとして官製談合防止法違反などの疑いで書類送検(後に在宅起訴)された杉原健士氏が4月に町長を辞職。杉原前町長は、地域政党「大阪維新の会」所属だった。是枝氏は無所属の共産推薦候補として5月18日に実施された町長選に立ち、他の2候補を破り当選した。

是枝氏は今後の町政について、3つの施策を掲げる。1つ目は不正のない入札制度の導入、2つ目はごみ処理施設の広域化、3つ目は町独自の物価高騰対策と水道料金の減免だ。

前町長をめぐる官製談合事件を受け、是枝氏は「最低制限価格の漏洩といった不正が起きない状況を作る対策を現在、行っている」という。

町が進めてきた産業廃棄物焼却施設の建設計画については、環境面への配慮などから選挙期間中に中止を訴えており、近隣自治体との広域処理を目指すという。

大阪維新の会の首長からのバトンに、「日本共産党だからクリーンだと思ってくれた有権者もいるだろう」と、共産推薦の重みも感じている。

共産党は、日の丸を国旗、君が代を国歌とする平成11年の国旗国歌法成立の際に反対の立場を明確にした。その後も、学校現場での国歌の斉唱指導を「内心の自由を踏みにじる強制」と位置づけたこともあった。

共産党員の町長として町主催の式典で、国旗国歌への対応をどうするのかを尋ねたところ、「町を代表して式典に出席するので、(国旗国歌を前に)皆さんと同じように起立する」とした。

その上で「共産党員であるからどうこうではない。人口減少、少子化の中で若い世代に子育てがしやすい町をつくっていきたい」と述べ、町政運営において、共産色をことさら打ち出すことはないと強調した。

プライベートでは、英ロックバンドの「クイーン」にはまり、絵画鑑賞が趣味。「旅行で美術館を巡るのが好き。ゴッホやルノワール、モネなどの印象派が好き」と笑顔を見せる。

「日本一小さい町だけれど、キラリと光るような町政にしていきたい」と意気込んだ。

産経新聞

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