国の登録有形文化財「和泉市 久保惣 記念美術館茶室」(和泉市内田町)が9日、7年ぶりに特別公開される。老朽化が進み公開が中止され、クラウドファンディング(CF)で集まった寄付金などを活用し、耐震補強工事を進めてきた。
美術館の敷地内にある茶室は、明治時代から約100年にわたって綿業で栄えた泉州を代表する企業「久保惣」の2代久保惣太郎(1889~1944年)が建設した。
京都にある表千家の茶室「残月亭」「不審 菴 」を模して造られ、「 聴泉亭 」「 惣庵 」と呼ばれる。「外腰掛待合」や、くぐって出入りする「 中潜 」などの配置も似せている。当時の茶室建築の技術と希少な材料を用い、価値ある文化財建造物とされる。
しかし、老朽化や耐震性について不安があったため、2018年6月から公開を中止し、耐震補強や設備の修繕などを行ってきた。耐震工事に必要な約2億1600万円の費用の一部をCFで募り、20年と21年の2回で計1500万円の目標額に対し、計1087万3500円が集まった。
今回、玄関棟と二つの茶室、茶室正門の1期耐震補強工事が完了。公開再開を望む声に応えて、2期工事が始まる前に公開を決めた。河田昌之館長は「多大なるご支援、ご協力のおかげ。日本文化の素晴らしさや豊かさ、貴重な建築技術の結晶をご覧ください」とコメントしている。
公開は9日正午~午後3時。申し込み不要で、美術館の入館料が必要。4月以降は、美術館開館時の土日、祝日のみ茶室が公開される予定。問い合わせは同美術館(0725・54・0001)。
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