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【阪南市】戦後最短日程の衆院選 トリプル選で期日前の開始日に差も 選管工夫(毎日新聞)

 新首相就任から解散、投開票とも戦後最短の日程で行われる衆院選(15日公示、27日投開票)。自治体の選挙管理委員会は急ピッチで準備を進めている。複数の選挙が重なる自治体もあり、選管は有権者の混乱を避けようと工夫を凝らす。

 石破茂首相は総裁選では、与野党が一問一答で論戦を交わす予算委員会開催の必要性を強調していた。ところが、9月27日に新総裁に選ばれると一転し、「できる限り早期に国民の審判を受けることが重要だ」と“超早期”の解散・総選挙の実施を表明した。

 北海道釧路市では、もともと市長選と道議補選の投開票日が10月20日に予定されていたが、衆院選の投開票日が27日と表明され、2週連続での投開票となる可能性が生じた。市選管は「2週連続では投票率の低下を招く恐れや、有権者に混乱を生じさせる可能性がある」として、急きょ市長選と道議補選の投開票日を27日に変更。三つの選挙が重なる「トリプル選挙」になる。市選管は投票立会人約130人に、27日の立ち会いを改めて依頼。市内66カ所の投票所の日程調整や確保に追われた。

 市選管の高野靖司事務局長は「バタバタで準備をしている。ミスはあってはならないので、適正な選挙の執行に努めたい」と気を引き締める。

市長選と衆院選のポスター掲示場が並んで立つ大阪府阪南市役所前=同市で2024年10月9日午後1時16分、中村宰和撮影
 トリプル選挙は他の自治体でも予定されている。その一つ、大阪府阪南市は衆院選と市長選、府議補選が重なる。市選管は投開票日に従事する職員を約150人と通常の市長選より50人ほど増やして対応し、投票箱が足りないとして新たに購入する。市選管の担当者は「これまでやったことがなく、準備は大変で、バタバタの作業が続いている」と話す。

 市内では4月に日程が決まっていた市長選の候補者のポスター掲示場が既に設置されており、その横に衆院選と府議補選の掲示場が追加で立てられる。市内151カ所での設置をそれぞれの公示・告示日前日までに完了させようと、作業を急ピッチで進める。

 有権者は投票所で、衆院選の小選挙区と比例代表、最高裁判所裁判官の国民審査、市長選、府議補選の計5票を投じることになる。市選管の小川哲司事務局長は「投票所の混乱の防止に努め、有権者が間違えることなく、投票の意思をしっかり示せるように丁寧な案内を心がけたい」と説明する。

 トリプル選の一つに立候補を予定する新人は「自分の名前だけでなく、どの選挙に立候補しているかも知ってもらえるように訴えていく」と話した。

 富山県氷見市でも衆院選の他に県知事選、市長選の3選挙の投開票が27日に予定されており、有権者らの混乱を避けるために工夫を重ねる。

 市選管は期日前投票の開始日の違いで有権者の混乱を招く可能性を懸念。期日前投票は県知事選で11日、衆院選は16日、市長選は21日に始まり、複数回にわたって投票所に足を運ぶ有権者も現れ、どの選挙の投票ができるか混乱させてしまう恐れがあるとする。

 こうしたことを受け、市選管は、期日前投票の開始日の違いや、21日からは3選挙が一度に投票できることを市のSNS(ネット交流サービス)やホームページなどで発信していくという。また投票所の入場券となるハガキの色を選挙ごとに緑、えんじ色、青色の3色に区別していく予定だ。有権者の混乱だけでなく投票所の受付での間違いも防ごうとの狙いがある。

 市選管の萩原宣雄事務局長は「開票所の人員も増やすなど、正確に適切な開票作業を行う準備をしていきたい」と話す。【大坪菜々美、中村宰和】

毎日新聞

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