ロシアの軍事侵攻が続くウクライナに平和が戻って欲しい――。そんな思いを込めた「ウクライナへの祈り」と題したチャリティーコンサートが10月5日、大阪府泉佐野市市場東1丁目の泉佐野市立文化会館(エブノ泉の森ホール)で開かれる。国際的な音楽家とともに、地元の合唱団もステージに立ち、収益は在日ウクライナ大使館を通じて現地に寄付する。
9月半ば、エブノ泉の森ホールの一室に、ウクライナ語のハーモニーが響き渡った。曲は、ウクライナの伝統歌「草原の赤いカリーナ」。
ホールを拠点とする混声合唱団「泉の森ハーモニー」の団員約50人は、今月からこの曲に取り組む。ウクライナ語の発音は動画が頼りとあって、指揮者の細川勝さん(56)は「言葉の不安があるかもしれないが、しっかり声を出そう」と声をかけた。
カリーナは、ウクライナに生育する低木。秋につける赤い実はジャムや薬にもなるという。
曲は、苦難に見舞われてきたウクライナを、草原で傾いたカリーナと重ね、元気づけようと歌い上げる。練習では団員の男性が「色んな人に勇気を送れるように歌っていきましょう」と呼びかけた。
ウクライナから演奏家を招いてコンサートを開いてきた日本ウクライナ芸術協会(横浜市)の代表で、バイオリニスト澤田智恵さんが、泉佐野市を昨年訪れたのを機に、コンサートの開催が持ち上がった。
コンサートは澤田さんと、ショパンを得意とするウクライナのピアニスト、デニス・ヤヴォールスキーさんが出演。合唱団を指揮する細川さんはバリトン歌手でもあり、賛美歌「ウクライナへの祈り」を独唱する。
当日は、堺市や大阪市で暮らすウクライナからの避難者ら約10人を招待する。団員の安随(あんずい)博子さんと(67)と植野なほみさん(60)は「私たちは歌うことしかできない。避難して来た方たちの心に歌が響いて、日本でウクライナを感じてもらえたらうれしい」と語る。
午後2時開演。全席自由、前売り3千円、当日3500円。チケットは、エブノ泉の森ホール事務所で購入できる。合唱団の団長でコンサート実行委員長の横河文恵さん(090・3465・4536)に、公演前日まで事前申し込みもできる。(田中章博)
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