大阪の新興企業 26年春にも
陸路4~5時間→40分に短縮
米子空港(境港市)を発着する関西空港(大阪)線の就航を大阪のスタートアップ(新興企業)が検討している。電車やバスでは4~5時間かかるが、フライト時間40分程度で結び、料金(変動制)は平均1万1000円前後の見込み。事業許可に向け、大阪航空局との協議をはじめ準備を進めており、早ければ来春の就航を目指す。(林美佑)
「ジェイキャスエアウェイズ」(大阪市)。日本のローカルの魅力を広めたいと、航空業界やスタートアップの専門家らが2023年6月に設立した。最初の路線として、関空から米子と富山への路線を準備している。
導入する機材は、ATR機と呼ばれる地域路線用として世界各地で使われているヨーロッパ発の航空機。飛行高度が低いため、体への負担は少なく、眺めがよいことなども期待できるといい、日本でも十数機が使われている。同社は昨年11月、72人乗り機体のリース契約を締結。燃費が良く経済性が高いため、搭乗率60%で黒字化が可能といい、座席数を考慮すると既存の大阪方面への電車やバスの利用者のうち2割が搭乗すれば達成できるという。
米子空港を選んだ理由として、同社は、米子―大阪間の人流は多い一方、列車は乗り換えが必要で、バスだと4時間程度かかることから、需要があると判断。想定ではフライト時間は40分ほどで、料金は需要に応じた変動制を採用し、税込み8500円~1万4000円、年間平均は1万1000円ほどとなる見込みだ。毎日1往復からで、就航から半年後には2往復を目指す。
さらに、訪日外国人客(インバウンド)の需要にも注目する。米子空港に乗り入れている国際線は韓国、香港、台湾があり、同空港へ入って、関空から出国するといった山陰と京阪神をセットにした観光や、関空に到着する訪日客の山陰への誘致にも期待を寄せる。
国の事業許可に向けて、大阪航空局とのやりとりも始まっており、同局によると「申請の前段階の調整をしている」という。航空機が遅滞なく届けられるかや、人材確保、資金調達ができるかもポイントとなる。
米子と同時に関空便就航を計画する富山も、北陸新幹線から在来線へ乗り換えが必要となり、3時間ほどかかることなどからビジネスと観光の需要を見込む。富山県は昨年11月、ジェイキャス社と連携協定を締結。国内外への魅力発信の方法や、スタートアップのノウハウを県内に広げることなどを検討している。
同社代表取締役・梅本祐紀さん(44)は「山陰は豊かな自然や『神話』などここにしかないものがある。強みを生かした魅力づくりと発信を地元と連携しながら進めていきたい」と話す。
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