国内最大の前方後円墳で、世界遺産の大山古墳（伝仁徳天皇陵、堺市）から出土したとされる副葬品が見つかった。堺市や国学院大学博物館（東京都）が19日、発表した。これまで存在が知られていなかった刀子（小刀）のほか、三つの甲冑（かっちゅう）片がある。現在、大山古墳の副葬品のうち、実際に見ることができる例はほかにないという。
刀子は10.5センチで、金めっきを施した銅板の付いた木製のさやに収められていた。甲冑片のうち二つは、鉄の地金に金銅板を重ねて貼った部分とみられる。いずれも、明治5（1872）年に発見されたことを記す包み紙に入っていた。
5世紀に建造された墳丘長は486メートルとされる大山古墳は現在、宮内庁によって立ち入りが厳しく制限される。一方で明治5年に、当時の堺県からの報告を受けた国が調査し、前方部の崩れていた石室内にあった甲やかぶと、ガラスの器、太刀金具、鉄刀などを絵図に描いて記録した上で、すべて埋め戻したとされる。
今回見つかった刀子と甲冑片の包み紙には、絵図を描いた絵師・柏木貨一郎が使っていた朱印が押されている。刀子は絵図には描かれていない。
国学院大博物館は古物商から購入したといい、柏木が副葬品の一部を手元に残していたとみている。
元宮内庁陵墓調査官の徳田誠志・関西大客員教授は、大山古墳の外で初めて見つかった副葬品と評価し、「絵図でしか知られていなかった副葬品の実物が出てきたことは最大の価値。今後の古墳の研究に生かされるはずだ」と話す。
大山古墳の副葬品をめぐっては、米ボストン美術館にも同古墳から出土したとされる資料があるが、近年の調査で年代が違うとの説が有力となっている。
副葬品は、7月19日～9月7日に堺市博物館で開かれる企画展「堺のたからもん―金で魅せる・黒を愛でる―」で公開される。
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