国内最大の前方後円墳、世界遺産の大山(だいせん)古墳(伝仁徳天皇陵、堺市)で7日、歴史・考古学系の17学会・協会の代表者が墳丘に立ち入り、現状を観察した。戦後、学会関係者の同古墳墳丘への立ち入りは初めて。
各学会の代表者は宮内庁職員の案内で拝所のわきからボートで濠(ほり)を渡り、墳丘に上陸。1段目のテラスをめぐって約2時間にわたり視察した。日本考古学協会の日高慎・東京学芸大教授は「崩れているところや、石積みをやり直しているところがあることなどがわかった。測量図や外からだけではわからないこともあり、一般の方と共有できる道を探りたい」と話した。
歴代天皇や皇族を埋葬したとされる「陵墓」は、同庁により一般の立ち入りが禁じられている。研究者による立ち入り観察は2008年に初めて許可され、18カ所目。大山古墳は学術的に重要な文化遺産だが、規制のため墳丘本体の情報がほとんどなく、05年の要望当初からの第1候補だった。学会側は公開や観察範囲・機会の拡充を求めて働きかけを継続するという。
大山古墳は5世紀の築造で、墳丘長は486メートルとされる。同庁は被葬者を仁徳天皇とするが、学界には疑問視する声がある。明治5(1872)年に堺県(当時)が前方部の埋葬施設を調べた例があるが、その後は立ち入りを厳しく規制。2018、21年には、同庁と堺市が墳丘をめぐる堤を共同調査し、多数の円筒埴輪(はにわ)や石敷を発見したが、墳丘には入っていなかった。
この記事へのトラックバックはありません。