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「岸和田だんじりは勇壮華麗な動く芸術品」 万博にも参加、祭礼町会連合会の中村佳博さん

「大阪・関西万博で2度も私たちのだんじりを世界の人たちに披露させてもらえるなんて、こんなうれしいことはなかった」

勇壮なやりまわしで知られる大阪府岸和田市の岸和田だんじり祭で、地元藤井町の町会長に加え、岸和田の旧市22町でつくる祭礼町会連合会の今年度の会長を務める中村佳博さん(64)は今年をこう振り返る。

藤井町のだんじりは、今年5月に万博会場(大阪市此花区)で大阪の伝統的な祭りなどを紹介する「大阪ウイーク」に岸和田の代表として参加し、やりまわしなどを披露した。また10月13日の万博閉会イベントにも招待され、再び万博で優美な彫り物が施されただんじりを紹介した。

「海外の方からもだんじりの美しさを褒められ、誇らしかった」

岸和田生まれ岸和田育ち。子供のころからだんじりは身近にあった。近所の子供たちと板に車輪を4つ付けたミニだんじりを引っ張り、自然とだんじりごっこで遊んだ。

小学生以降、祭りのときは町会の法被を着て、だんじりとともに走り出した。

20代後半から40代前半は、だんじりのかじ取り役として、やりまわしの際にだんじりを一瞬止めて角度を変える「前でこ」を受け持った。「転倒の際にだんじりにはさまれてけがをすることもある危険な持ち場。緊張の連続でした」

それでも人生において、だんじりの比重は大きい。祭りの前後一週間ほどは会社を休む。夏休みを返上しておき、祭りに合わせて休んだという。

しかし令和2年、新型コロナウイルスの感染拡大によって、だんじり祭開催を自粛。翌年も藤井町は参加したものの一部地域は参加を見合わせた。「正直、今後どうなるのかというさみしさはありました」

そうしたなか舞い込んできた今年の5月、10月の万博への出展の誘い。「だんじりの輸送費といった金銭的不安に加え、町会の役員らの負担も考え不安もあったが腹をくくった」と参加を決めた。

実際出展すると、だんじりの周りを人が取り囲み、その美しさや勇壮さを認めてくれた。「だんじりは勇壮華麗な動く芸術品」という中村さんの考えも伝わったように感じた。

また、本番である9月の岸和田だんじり祭のパレードでも、藤井町は10年ぶりに1番くじを引き、トップバッターとして市内のパレードに繰り出すことができた。「今年はでき過ぎかもしれない」と頰をゆるませる。

しかし近年は、少子化や娯楽の多様化により、「若者のだんじり離れ」も懸念されている。「私が子供だったころのように、強制的に何かをやれということはできない」として、現在は中学生らに青年団の若者が声をかけて一緒に食事を取るなど工夫を重ねている。

「だんじりは〝荒い〟といったイメージを持つご父母もいるだろうが、だんじりは参加者全員で成し遂げるもの。団体で成功したときの喜びを知ってほしい」

「岸和田だんじりは勇壮華麗な動く芸術品」 万博にも参加、祭礼町会連合会の中村佳博さん(産経新聞)

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