ふるさと納税で多額の寄付を得ていることを理由に、国が令和元年度に特別交付税を減額したのは違法だとして、大阪府泉佐野市が国に減額決定の取り消しを求めた訴訟の差し戻し控訴審判決が9日、大阪高裁であった。牧賢二裁判長は、減額決定を取り消した1審大阪地裁判決を支持し、国側の控訴を棄却した。
同市は平成30年度に全国で最高額の約498億円の寄付を集めた。国は省令を改正し、寄付収入が特に多い自治体の特別交付税を大幅に減額。同市も対象になった。
令和4年3月の1審大阪地裁判決は市側の訴えを認めたが、2審大阪高裁判決は、税分配は「行政の内部調整で解決されるべきだ」と指摘。裁判の対象にはならないとして、決定の違法性の判断には踏み込まず、市側の訴えを却下した。
これに対し、最高裁は今年2月、「地方自治体が国に特別交付税額決定の取り消しを求める紛争は裁判の対象になる」との初判断を示し、2審判決を破棄。審理を高裁に差し戻していた。
平成20年度にスタートしたふるさと納税を巡っては、国と同市の〝衝突〟が続いてきた。国は自治体間の返礼品競争の過熱を問題視し、令和元年度に同市を含む4市町を制度の対象から除外。同市は除外決定取り消しを求めて提訴した。最高裁が2年に同市の訴えを認めて国の決定を取り消したことで、同市は制度に復帰した。
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