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【堺市】「TOHOシネマズ 泉北」映画館にまつわる歴史&トリビア特集

今年、TOHOシネマズの全国17劇場がアニバーサリーを迎えることを記念し、現在TOHOシネマズ株式会社によるお客様への感謝を込めた“アニバーサリーキャンペーン”が実施中だ。MOVIE WALKER PRESSでは対象の17劇場のスタッフへの取材や当時の資料を徹底リサーチ!オープン当初の貴重な裏話、その映画館ならではの魅力やトリビアなどを深掘りする連載コラムを展開中。第15回は、創業25周年の「TOHOシネマズ 泉北」についてご紹介。

外資系シネマコンプレックスチェーン「ヴァージンシネマズ 泉北」として2000年12月8日に開業し、2004年2月21日に「TOHOシネマズ 泉北」に改名した当劇場。今回は開業当時、オープニングスタッフとして携わっていたお二方に話を聞いた。当時大学生で、アルバイトとして入っていた元スタッフは「泉北という片田舎に、そんなにハイカラなシネコンができるんだろうか?と、最初は疑心暗鬼になりながら研修を受けていました」とおちゃめに言うと、もう1名の元スタッフも「そうそう」と笑いながら「スタッフ総出で、近隣にチラシや招待券を配りに行きました」と当時を懐かしむ。

1日の上映回数が最も多かった映画は、いまも社会現象級のメガヒット中である『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』(公開中)や、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(20)など。チラシの減りが早かった映画はSnow Manが主演を務めた映画『おそ松さん』(22)などのSTARTO ENTERTAINMENT(当時はジャニーズ事務所)タレントが出演する作品で、1人2枚までの枚数制限を設けていたとか。公開前に反響が多かった映画では、ムビチケ特典の問い合わせが殺到した「妖怪ウォッチ」シリーズや、入場者プレゼント「ONE PIECE 巻零(ゼロ)」目当てで公開初日に長蛇の列ができた『ワンピース ONE PIECE FILM STRONG WORLD』(09)などが挙がった。

コンセッションでは、ポップコーンのペアセットが一番人気だが、シニア層にはポップコーンSとホットコーヒーの組み合わせが好まれているという。劇場周辺の立ち寄りスポットは、当劇場が入っているアクロスモール泉北内のお好み焼き屋や、パン食べ放題が人気のパスタレストランがおすすめだそう。

アルバイトスタッフが自発的に参加した“映画館作り”

元スタッフによると「当時は社員が少なく、アルバイトスタッフが中心のチームでしたが、その分、自分たちのアイデアをどんどん形にできる自由な雰囲気があった気がします。スタッフが浴衣でチケットを売ったり、ロビーにクリスマスツリーを飾ったりして、季節感を演出していました。自分たちでいろいろなことを考えてやっていて、“映画館作りに参加している実感”がものすごくありました。マニュアルが整っていない状態からスタートしたので、自分たちで清掃方法や業務手順のルールを作ったこともあり、すべてが自分事としてとらえられました。いろいろな点で厳しかったけど、その分、すごく楽しかったし、やりがいがありました」と述懐。

さらに「ファミレスで反省会やマニュアル作りなどもやっていました」と言う元スタッフ。「生活と仕事が直接つながっているような、ずいぶん濃い期間を過ごさせてもらいました」としみじみ語る。仕事終わりには、劇場近くにあった焼き肉居酒屋へ、スタッフみんなでよく飲みに行っていたそうで「『今日は大変だったよね』と、お疲れ会などをよくしていました」とうなずき合う二人は、当時を思い出し顔をほころばせていた。

続いて立ち上げ当時、一番大変だった思い出について尋ねると、開業して約半年後、『千と千尋の神隠し』(01)が封切られた時のフィーバーぶりだったと即答する。
「すごかったです!見たことがないような人数がロビーにあふれかえり、てんやわんやでした。そこから半年間、ずっと忙しくてあまり休みもなかったです。当時はチケットの発券も窓口でしかできなかったので、最後尾がショッピングモール内で渦を巻いている状態でした。夏場だから暑いのでうちわも配りましたし、チケットを買うまでに2時間もかかるような日もありました」と言うからびっくり!

「当時はレジが5~6台しかないなか、数千人分のチケットをさばかなければならず。しかも当日分だけではなく、完売していたら翌日の分を買って帰るという感じで、延々と列が続いていました。すごくローカルな場所にあるシネコンなのに、かなり稼働率がよく、当時、業界的にも驚かれたそうです。団地に囲まれていたからか、その近辺に住む方々全員が足を運んでくださったようで、まさにうれしい悲鳴でした」。

また、思い出のイベントについては、『ナトゥ 踊る!ニンジャ伝説』(00)で南原清隆が、『無問題2』(02)で岡村隆史が、『シベリア超特急2』(00)では水野晴郎が舞台挨拶で登壇したという。元スタッフは「なぜか劇場スタッフが水野さんを関西空港までお迎えに行っていました。また、水野さんはポップコーンの販売までしてくださったんですよ」と笑顔でコメント。

ビッグサイズのスクリーンと映画館ならではの音響で作品を楽しめる!

プレミアスクリーンを含め、9スクリーンを構える当劇場は「開業当時から、スクリーンが相当大きいと言われていました」と語る元スタッフ。確かに5.32m×12.34mのスクリーン1、5.5m×13.01mのスクリーン4、5.35m×12.48mのスクリーン5は、一般的な劇場よりもビッグサイズで、幅広い映画ファンから愛されてきた。現在はデジタル3D上映もできる。

また、開業当時に開催された決起集会にて、当時の社長が音響のよさについて力説していたことをよく覚えていると言う。
「スクリーン1で、こけら落としの映画として『バーティカル・リミット』という雪山を舞台にした映画を上映することが決まっていたんです。決起集会で、みんなで一緒にご飯を食べたあとで、劇場に戻ったのです。そこで社長が『バーティカル・リミット』の映像を流しながら、スピーカーのよさを力説してくださいまして。『後ろから、雪がササッと落ちる音がするでしょ。最近の映画館の音は本当にすばらしい。あなた方には、こういうところで仕事をしてもらうことになります』と言われました。その時、確かに音響もすごくよかったし、スクリーンも大きかったから、とてもうれしくなりました」。

現スタッフによると「マイナーチェンジはいくつかあるものの、館内構造は開業当時とほぼ変わりないです。もちろん各機器や映写設備は、ほぼ最新のものを導入しております」と、ハイクオリティーの設備をアピール。

そして「開業当時から、いまも変わらず当館のファンであり続けていただいてるお客様が多くいらっしゃいます。最新の映画やコンセッションのメニューなどを扱うなど、変化がありつつも、昔ながらの変わらないところをしっかり残しつつ、引き続きすべてのお客様の“GOOD MEMORIES:憩いの場”であり続けられるよう尽力して参ります」と、TOHOシネマズが掲げる理念を大切にしながら、今日もたくさんの映画ファンを迎えてくれている。

なおTOHOシネマズの全国17劇場で開催中のアニバーサリーキャンペーンでは、4月から12月の9か月間にわたって、様々なサービスを展開している。対象劇場は、今回紹介した泉北のほか、5周年の池袋、立川立飛、10周年の新宿、ららぽーと富⼠⾒、アミュプラザおおいた、15周年の上大岡、20周年の府中、ひたちなか、水戸内原、岐阜、津島、二条、直⽅、25周年の浜松、ファボーレ富山、⼤分わさだだ。ぜひ最寄りの場所や気になっている映画館をチェックし、お目当ての映画を観に行っていただきたい。

【TOHOシネマズ 泉北篇】25年前の開業スタッフが”映画館作り”の裏話を語る!映画館にまつわる歴史&トリビアを大特集(MOVIE WALKER)

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