関西空港、貨物地区改修プロジェクト 上屋拡張で潜在需要取込み強化へ
関西国際空港を運営する関西エアポート(KAP)は12月17日、国際貨物地区の大規模改修プロジェクトを開始すると発表した。老朽化が進む貨物施設を刷新し、上屋の拡張やデジタル化を進めることで、将来的な航空貨物の潜在需要の取り込みを図る。
今回のプロジェクトは「Cargo Next→」と名付けられ、
①貨物施設の拡張・改修
②デジタル化と施設配置の最適化
③関係事業者との連携強化
④労働環境の改善
⑤環境負荷の低減
の5つを柱として進められる。
このうち、貨物上屋は最大50%まで段階的に拡張する計画で、まずは約5%の増床を行い、既存施設のリノベーションも検討する。DXや自動化技術の導入により、貨物処理の効率化も進める方針だ。
また、通勤や食事環境の改善などを通じて働きやすさを高め、「関空で働きたい」と思える環境づくりを目指す。環境対策では、電動トラック向け充電設備の整備や、水素活用を含む脱炭素化にも取り組む。
KAPによると、現在の関西空港の貨物上屋はほぼ満床状態が続いており、関西地区で発生する航空貨物のうち約6割しか取り込めていないという。残る約4割は潜在需要とされ、今回の改修により西日本の航空貨物ゲートウェイとしての機能強化を図る。
今後10~15年を見据え、医薬品輸送の強化やEコマース需要への対応も進める。空港内の共同定温庫「KIX Medica」の機能拡充や、航空機から上屋まで一貫したクールチェーンの整備にも力を入れる方針だ。
1994年の開港から30年以上が経過した関西空港。今回の改修プロジェクトは、次の30年を見据えた基盤整備として、物流分野における関空の競争力向上につながるかが注目される。






この記事へのコメントはありません。