災害時における入浴支援体制の強化に向け市内福祉施設と官民連携協定を締結します
― 能登半島地震の教訓を踏まえ「生活支援」を拡充 ―
泉大津市は、災害時に断水や停電などで入浴が困難となる事態に備え、社会福祉法人覚寿園と「災害時における入浴支援に関する協定」を締結する。能登半島地震(2024年)をはじめとする近年の災害対応で浮き彫りとなった課題を踏まえ、被災者の命と健康、生活の質を守ることが目的だ。
大規模災害では、断水や停電、設備損壊、温浴施設の休業などが重なり、避難者が長期間入浴できない状況が各地で発生してきた。清潔を保てない生活が続くことで、皮膚疾患や感染症、体調不良が増加し、災害関連死の一因となるケースも報告されている。
入浴は、衛生面だけでなく、血流改善やストレス軽減、睡眠の質向上など、心身の安定にも大きく寄与する生活支援とされる。しかし、多くの自治体では平時から大規模入浴設備を保有しておらず、災害時に新たな設備や人員を確保することは容易ではない。
泉大津市は沿岸部に津波浸水想定区域を抱え、断水・停電リスクが相対的に高い一方、市内に大規模な公設入浴施設が少ないという課題を抱えている。このため、民間・福祉施設との官民連携による体制構築が不可欠とされてきた。
今回の協定では、覚寿園が有する入浴施設や給湯設備を活用し、災害時に避難者へ入浴環境を提供するほか、湯水や備品の確保、衛生管理、安全確保、運営体制の連携などを定める。これにより、市単独では難しい継続的な入浴支援が可能となる。
泉大津市ではこれまでにも、民間施設を活用した災害時入浴支援の協定締結や、断水下でも使用可能なAI水循環型シャワーの導入、広域自治体との相互支援ネットワーク構築など、独自の防災対策を進めてきた。今回の協定は、そうした取り組みを補完・強化する位置付けとなる。
調印式は、12月25日に泉大津市役所で行われる予定。市は今後、官民連携をさらに深め、被災者に寄り添った実効性のある生活支援体制の構築を進めるとしている。






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